プログラムの目的とカバレッジレベル

電子監視の成功は明確な目的に合意できるかどうかにかかっています

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プログラムの目的とカバレッジレベル
The Pew Charitable Trusts

概要

電子監視(EM)プログラムは、地域漁業管理機関(RFMO)が漁船の漁獲量やその他の船内行動の監督を改善するのに役立ちます。プログラムが効果的なものになるようにRFMOは利害関係者と協議して、プログラムの明確な目的を定めます。この目的は必要な監視レベルを定義し、EMシステムで人間の担当者が乗船して行う監視を補完する部分を明確化するのにも役立ちます。

EMプログラムの目的設定

EMプログラムの目的により、どのような機材が必要か、希望するカバレッジで発生するコストはいくらか、どのようにデータを分析するかなど、あらゆる面で情報が提供されます。また、目的を明確にすることで、利害関係者に決定を伝えるのが容易になり、利害関係者からの賛同を得やすくなります。 

目的には目標漁獲高の検証や混獲制限、その他の規制への準拠などが含まれるかもしれません。漁業管理者は監視における課題、EMシステムで現在の情報収集システムを補完する方法、システムで経済的、効率的、正確に収集できる追加のデータポイントについて検討する必要があります。

目的により定義されるカバレッジレベル

目的について合意されたら、管理者はEMカバレッジの適切なレベル(EMシステムを設置する漁船の割合と記録する活動)を決定します。すべての漁船であらゆる活動を電子的に収集するのが理想的です。すべての漁船にEMシステムの設置が義務付けられていない場合、参加が求められた漁業者は業界全体で十分な説明責任が果たされていないことに不満を感じるかもしれません。フルカバレッジにより適切な監視が行われ、収集データはすべての操業を表すようになるため、監視担当者の乗船時に漁業者が漁法を変更する可能性は低くすることができます。 

100%のカバレッジだからといって、すべてのビデオ映像のレビューを行う義務があるわけではなく、そうした方が良いわけでもありません。EMプログラムでは通常、データのランダムサンプルのレビューを行います。これは研究で効果があることが明らかになっています。1  

フルカバレッジでの導入が難しい場合、どの漁船にEMシステムを搭載するかプログラムで決定します。そのような状況においては、漁業管理者とRFMOスタッフは以下のことができます:

  • EMプログラムの管理と監視の目的について合意する。例えば、利害関係者が妥協点について議論し、情報を共有し、EMの目的について交渉できるように、EMワーキンググループを設置できます。
  • 漁具タイプを評価してEMシステムで収集する情報を決定する。管理者は漁船の活動について考慮します。例えば、漁獲が限られる小型漁船をEMの対象とすることは現実的ではないかもしれません。
  • プログラムの目的に関連して監視の優先順位を設定する。例えば、延縄漁業では混獲の監視に関心があるかもしれません。管理者は監視外の活動や漁船団が引き起こすリスクを評価します。法令遵守の問題が最小限に抑えられている漁業においては、監視担当者のカバレッジ要件を低くしても十分対応できる可能性があります。
  • EMが人間の担当者の代わりとなったり、または補完する可能性のある分野について議論します。ほとんどの底曳網漁船団では100%の監視担当者によるカバレッジが求められるため、おそらくEMによりこのカバレッジが補完されることになります。巻き網漁船では混獲の発生率が高く、監視担当者によるカバレッジが極めて低い(約5%)ため、監視を改善するためのツールとしてEMが優先的に導入される可能性があります。

まとめ

利害関係者の意見を取り入れて明確な目的を設定することは、EMプログラムを適切に設計し、効果性を高めるための基盤となります。設計プロセスの最初に時間を取って、プログラムの目的について合意形成を図ることで、RFMOでは、参加者がテクノロジーを活用する理由とそうする方法についての情報を共有できます。また、管理者はこの目的をプロセス全体における意思決定の指針とすることができます。

巻末の注

               1         The Pew Charitable Trusts, “How to Review Electronic Monitoring Data While Safeguarding Privacy,” (2020), pewtrusts.org/ElectronicMonitoring.