編集部注:このページは2024年4月17日に更新され、地図の出典が追加されました
北太平洋は、貴重な商業魚種資源や深海サンゴ礁など、数多くの生物が生息しています。多くの種はさまざまな要因によって危機に瀕していますが、北太平洋漁業委員会(NPFC)が断固とした対策を行うことで、少なくとも部分的には短期間で健全な状態に戻ると考えられています。
NPFCは、特定の魚種資源とそれらが生息する生態系の長期的な保全と持続可能な利用を任務としています。同委員会は、4月15日から18日まで大阪で年次総会を開催します。同委員会の加盟9か国の政府は、この総会を契機に、商業的・生態学的に重要な小型外洋魚であるサンマの管理を最新化し、資源回復のための予防管理を採用することが求められています。また、加盟国はNPFC条約に基づく予防管理の実施が義務づけられており、その決定事項を固守するため、天皇海山群と北西ハワイ海嶺に沿った底びき網漁を禁止することが期待されています。
サンマはマグロ、サメ、サケなどの捕食魚にとって欠くことのできない被食魚であり、文化的にも重要です。サンマは歴史的に見ても主要な商業漁業の対象であり、特に中国、日本、韓国、ロシア、台湾などでは、古くから貴重な食料源とされてきました。しかし近年はその数が大幅に減少しています。NPFCはこれを受けて、漁獲可能量を二度にわたって引き下げ、2023年には25%削減されました。しかし、こうした短期的な対策はサンマの資源回復と持続可能性を支えるには十分ではありません。
NPFCは2021年に、サンマの長期管理を改善することで合意しました。今年は、暫定的な漁獲管理ルール(HCR)の採用により、その合意内容の具体化が求められています。HCRはサンマの資源回復だけでなく、持続可能なレベルに維持することを目的としたルールであり、生息量に基づいて漁獲量の制限を設定する、一時的な交渉ではなく事前に合意された規則です。
暫定的なHCRの施行後、NPFCは完全な管理手順(漁獲戦略)の開発に着手します。このプロセスには、漁業における広範な不確実性の評価を含みます。そこから打ち出される漁獲戦略では、漁業管理の長期目標を設定し、生態系におけるサンマの役割を考慮しなければなりません。
NPFCは年次総会において、この作業を明確なスケジュールで進めるために必要なリソースを投じることが求められています。頑健(robust)な管理方式は、サンマ漁の長期的な回復、予測可能性、持続可能性への道を開く最善の機会を提供し、ひいてはこの小型魚に依存するあらゆる海洋生物と地域社会に恩恵をもたらすことになります。
ハワイ諸島の北西の方角へ弧を描くように延びる天皇海山群は、豊かな水資源と生物多様性に富んだ海山です。NPFCはより近代的な地域漁業管理機関の一つとして、生態系に基づく漁業管理アプローチの採択によって、この海域の生態系に悪影響を及ぼさないよう漁業を管理するよう加盟国に求めています。今年、NPFCの加盟国は決議内容を具体化し、天皇海山群の重要かつ脆弱な環境を適切に保護するための予防的措置を講じ、この海域での底びき網漁を禁止することが期待されています。
天皇海山群海域に生息する生物には、底びき網漁に弱い固有種や成長の遅い深海冷水性サンゴ類といった絶滅危惧種が含まれており、漁業活動は生息地に深刻な被害をもたらす可能性があります。最近の研究では、底びき網漁によるサンゴ礁への被害の実態が報告されています。しかし、さらなる破壊活動を食い止めることで、時間の経過とともに再生可能であることも科学的に証明されています。この海域を漁業禁止区域に指定することで、NPFCは漁業管理と生態系保護の指導的地位を確立できるでしょう。
今年日本で開催される年次総会では、NPFCの全加盟国が連携し、脆弱な深海サンゴ群集を保護する科学的な予防対策を講じることで、サンマの資源回復を目指すことが期待されています。こうした対策は、NPFCが組織設立時に加盟国が掲げた責務を果たしていることを証明し、次世代のための地域漁業監視基準を高めるものと思われます。
Raiana McKinney(ライアナ・マッキンニー)氏はThe Pew Charitable Trustの国際漁業プロジェクトのシニアアソシエイトであり、Dave Gershman(デイブ・ガーシュマン)氏はThe Ocean Foundationの国際漁業保全プロジェクトのシニアオフィサーです。