フィジー、ナンディ — The Pew Charitable Trustsによると、太平洋クロマグロは何十年も乱獲されており、その個体数は97%も減少しているものの、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が審議する予定の管理提案では現状が改善される見込みはなく、加盟国政府によって否決されるべきであるとのことだ。
WCPFCは西太平洋のマグロ漁を監視する団体で、12月5~9日にかけ、この地に集まり、太平洋クロマグロの管理対策について話し合う予定である。資源量の管理はWCPFCの小委員会である北委員会により長い間指揮されてきたが、ここ数年は、北委員会の提案が見直しや議論がほとんど行われずに全委員会によって承認されており、これが太平洋クロマグロに損害を与える大きな理由となっている。
科学者が種の絶滅危惧を指摘しているにもかかわらず、北委員会は9月の会合においても、太平洋クロマグロの現状を打開する新たなステップを一切示さず、あろうことか、種の回復を促す目的で再生する必要があるマグロの成魚に対する漁獲努力を上げる余地を日本と韓国に与えるという、保護対策の緩和を提案した。この提案は効果に対する分析が全く行われぬまま示されており、日本が太平洋クロマグロの大半を漁獲しているという現状の中、これ以上の成魚の漁獲を許せば、さらなる資源枯渇を招きかねない。
管理団体が対策を行わないことに対応するかたちで、Pewは太平洋クロマグロの商業漁業を2年間停止することを求めた。承認されれば、乱獲が直ちに停止され、資源回復のチャンスが生まれる。
Pewの国際マグロ保護キャンペーンを指揮するアマンダ・ニクソンは、WCPFCが現在の提案を否決すべき理由について以下の声明を発表した。
「乱獲により太平洋クロマグロの量は、以前の3%にまで減っています。漁獲量の抑制を行動に移さなければ、資源量の回復は最短でも数十年後になってしまい、日本の漁業従事者や消費者にとっても望ましくない状況になるでしょう。
深刻な絶滅危惧種に対しては、WCPFCが漁獲量を減らすよう対策を講じなくてはなりません。今のような議論が続くようでは、WCPFCの加盟国は止まらない乱獲やすでに激減している資源量をさらに減らすことを容認しているのと同じなのです。北委員会は太平洋クロマグロの数が回復するよう、科学的根拠に基づいた予防措置をWCPFCに示せるようにならなければなりません。WCPFCの総会によれば、管理措置は、マグロの資源量を健全な状態で持続可能な量に維持するものでなければならないのです。北委員会が今年提示した案は、この義務を達成するものではありません
今こそ、太平洋クロマグロの状況に失望を示していた各国が、WCPFCに絶滅危惧種を保護する意思があるということを証明するときなのです。日本を含む北委員会の加盟国は、資源量が非常に少ないことを知りながら今後の対策を先延ばしにしています。こんな状況を続けてはなりません。北委員会の加盟国は、すべての国が同意した持続可能な漁業管理の義務があることを深刻に受け止めるべきなのです
WCPFC北委員会が対策を行わないことで、2年間の商業漁業停止がより重要な意味を持つようになっています。この停止期間が認められない場合、太平洋クロマグロを保護できるのは国際貿易規制しかないかもしれません。」
太平洋クロマグロおよびPewによる商業漁業の停止申請に関する詳細についてはpewtrusts.org/savepacificbluefinを参照。
The Pew Charitable Trustsは知識の力により今日ある最も難しい問題を解決している。詳しくは、pewtrusts.orgを参照。